被災地への移住の難しさ。

<移住の難しさ>

今、僕は、岩手県大槌町にいます。
旅館に宿泊しています。
7泊8日です。

僕は、大槌町に
「移住」し、
もっと深く「東日本大震災」のこれからに
関わっていきたいと思っていました。

しかし、
とても難しい状況に直面しています。

このことは、様々な被災された場所で
同じように起こっていることなのですが、

「住むところがない」

んです。
住民の方でさえ、
出たくても出れない「仮設住宅」
アパートなどの賃貸物件は1件もありません。

一番近くて、車で1時間はかかる他市になります。

「仮設住宅」は、
現在は、他の場所に引っ越したり、新しく家を建てたりなどで、
知り合いの方が入居している場所でも、
かなりの数、空いています。

今年の3月いっぱいまでは、
自治体によっては、
空いた仮設住宅を、
長期のボランティアさんなどに、
貸し出していた所もあったのですが、
現在は、そういったことは行われていません。

例えば、
この町出身で、
関東などに行っていたけど、
震災を機に故郷に帰りたい人も、
震災当時、この町に住民票がないなどで、
空いた仮設住宅に入居出来ません。

なので、故郷に帰ることが出来ないのです。
そういった話は沢山聞きます。

また、
Apeを経営し、夫婦で音楽活動をされている
リア + ノリシゲさんも
仮設住宅に入れず、
畑にある、水道がない小屋に2年も暮らしています。

そういった状況では、
ましてや、僕に住む所はありません。

僕は出来るだけ、こういった公のネット上で、
震災に対して「問題提起」をしないようにしてきましたが、

住民の方々が住むところがなく、
仮設住宅が満室の場合の話ではなく、

たくさん空いている仮設住宅を
生まれ育った人たちでさえ
借りることが出来ないことは、
今後、
どんどん町作りが進んでいく中で、
逆に人口の流出をまねいてしまう気がします。

つい先日、復興庁政務官の方が大槌町に来たとき、
記者さんが
「空き仮設を帰る所のないUターン希望者らも住めるように緩和を」
と質問したところ、即答をさけられました。

例えば、
たまたま、僕が移住したいから、
誰かのご厚意で、住むところが見つかったとしても、
根本的な解決にはなりません。

現在の全自治体一律の基準が
変わらなければ、
僕のように、
これから被災された場所に移住したい、
という人さえ、
困難を前に諦めてしまいます。

残念ながら
現在の段階で、僕は「移住」という選択をすることが出来ません。

当分の間は、
いままで通り、
月に1回ほど通う
という今までの形をとりながら、
様々な形を模索していきたいと思います。

火曜日には、
横須賀に戻ります。

もう少し、
この町を感じていたいと思います。

可児波起@STAND WAVE

ネイチャーヒップホップグループ「STAND WAVE」のリーダー。メジャーアーティスト。ラップ、歌い手、作詞家、作曲家、編曲家。「JASRAC」に登録。25年のキャリアを持ち「ネイチャーヒップホップ」のジャンルを確立。『生きる』や『大自然』をテーマに曲を作り上げてる。ラップや歌のほか、作詞・作曲家として多くのアーティストに楽曲提供。心に響くメッセージを歌詞に込めている

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可児波起@STAND WAVE