【サイファーとは？】ラップをするなら覚えておきたいヒップホップ文化のコミュニティを形成する大切な役割

HIPHOP

2023.11.022024.04.13

ネイチャーヒップホップグループ「STAND WAVE」のリーダー。メジャーアーティスト。ラップ、歌い手、作詞家、作曲家、編曲家。「JASRAC」に登録。25年のキャリアを持ち「ネイチャーヒップホップ」のジャンルを確立。『生きる』や『大自然』をテーマに曲を作り上げてる。ラップや歌のほか、作詞・作曲家として多くのアーティストに楽曲提供。心に響くメッセージを歌詞に込めている

可児波起

この記事の要約です♫

ヒップホップ文化の核心であるサイファーの起源から現代における進化までを、プロの音楽家目線で解説します。音楽クリエイター、ヒップホップ愛好家、そして創造的なコミュニティを求めるすべての人に向けて、サイファーの技術的側面、コミュニティ形成の重要性、そしてその文化的意義について深く掘り下げています。この記事を読むことで、音楽とコミュニティの力を最大限に活用する方法を理解し、インスピレーションを得ることができます。

音楽はただの音の組み合わせではありません。それは文化であり、生きた歴史であり、私たちが共有する魂の一部です。こんにちは、可児波起です。STAND WAVEのラップと歌を担当している僕が、音楽を通じて感じたこと、学んだことをお伝えします。

今日は「サイファー」というヒップホップ文化の核心に迫り、その生まれた背景について、プロの音楽家としての視点で解き明かしていきたいと思います。

サイファーは単なるラップバトルの場ではなく、創造性、コミュニティ、そして自己表現の究極の形。この世界に足を踏み入れるとき、僕たちはただの観客ではなく、その歴史の一部となるのです。それでは、この旅を一緒に始めましょう。

【マスト！ヒップホップ定番ブランド】

・Supreme | 世界中の海外アーティストやセレブに着用されているビッグブランド
・NEW ERA（ニューエラ）59FIFTY |これしかない！王道のベースボールキャップ
・Dickeie（ディッキーズ） | 1990年代のギャンスタラップの定番ブランド
・Timberland （ティンバーランド） |リリックにもよく出てくる「ティンバーのブーツ」
・Polo RALPH LAUREN | ニューヨークのギャングから始まったセレブブランド

サイファーとは？
サイファーの起源とヒップホップ文化の誕生
1. 第一部:
サイファーの構造とフリースタイルの技術
1. 第二部:
サイファーにおけるコミュニティの役割と文化的意義
1. 第三部:
2. 第四部:
よくある質問と答え
まとめと感想

サイファーとは？

「サイファー」とは、ヒップホップ文化、特にラップの世界で用いられる用語で、ラッパーたちが輪になって順番に即興ラップを披露するセッションのことを指します。この言葉の起源は、ヒップホップが誕生した1970年代のニューヨークに遡ります。そこでは、ストリートや公園でラッパーやDJたちが集まり、自分たちの技術を競い合いました。

サイファーは、参加者たちがリリカルなスキル、即興性、リズム感を披露する場であり、ヒップホップの根本的な要素である「フリースタイル」を体現しています。参加者は、他のラッパーのラップに応答する形で自分のラップを展開し、リリックの中にはしばしば競争相手への挑戦や自己主張が含まれます。

サイファーのやり方は比較的シンプルです。まず、ラッパーや観客が輪を作ります。次に、DJがビートを流し始め、ラッパーたちが順番に中心に入ってラップを披露します。通常、各ラッパーは数バース（1バースは1小節）をラップし、次のラッパーにバトンを渡します。このとき、ラップは完全に即興であることが多く、リリックの内容やスタイルはラッパーの個性やスキルによって大きく異なります。

サイファーは、ラッパーたちが互いの技術を磨き、コミュニティを形成する重要な役割を果たしています。また、若いアーティストが自分の才能を証明し、名声を得る機会としても機能しています。この文化は、世界中のヒップホップコミュニティに広がり、多くの地域で独自の形式やスタイルを生み出しています

サイファーの起源とヒップホップ文化の誕生

STAND WAVE web site：@可児波起 - ラッパー - 歌い手 - 作詞家 - 作曲家の背景画像

第一部:

ヒップホップとは何かを理解するには、まずその鼓動を感じる必要があります。1970年代、ニューヨークのブロンクス。この地でサイファーは誕生しました。僕が音楽を始めた当初、自分のルーツを探る旅の中で、このカルチャーの重要性に気づかされたのです。

サイファーは、ヒップホップの四大要素の一つであるRAPing（ラッピング）の本質を表すもの。サークルを作り、一人ずつ中央に入っては自分のスキルを披露する。そこには競争も協力もあり、個々の技術だけでなく、コミュニティ全体の力が試されます。

ヒップホップ文化は、社会の不平等と闘い、自己表現の場を創出するために生まれました。僕たちSTAND WAVEが音楽で表現している「生きる」というテーマは、まさにヒップホップが持つ生の声であり、真実です。サイファーは、それぞれのストーリーを語るための場所であり、僕らはギターを手にそのストーリーを紡いできました。

この文化が成長していく過程で、サイファーはただのフリースタイルラップの場を超え、アイデンティティを確立するためのプラットフォームに進化しました。僕が楽曲提供をしているアーティストたちも、このプラットフォームを通じて自らのメッセージを発信しています。

JASRACに登録された作詞家、作曲家として、僕が目にしたサイファーは、参加者一人一人がもたらすエネルギー、そしてその場に集まる人々の熱量は、測定不可能なほどの価値がある。それは音楽の数値化できない部分、つまり魂の部分です。

このヒップホップの世界では、僕たちは自然のリズムに合わせて生きることを学びます。サイファーはその自然の一部であり、人々が互いにリズムを共有し、生の経験を積み重ねていく場なのです。

【ヒップホップファッションの定番スニーカー】

・NIKE：AIR FORCE 1 | ど定番のスニーカードクター・ドレやNaz愛用
・adidas：SUPERSTAR | Run-D.M.Cが履いたことで世界的ヒット根強い人気
・PUMA：SUEDE | そのタフさからブレイクダンサーに愛された1足
・VANS | The Packが「ホンモノの黒人ならVANSを履くぜ」と歌い大ヒット
・NIKE：AIR JORDAN | 映画『キックス』で憧れのスニーカーとしてピックアップ

サイファーの構造とフリースタイルの技術

第二部:

サイファーにおけるフリースタイルラップは、即興性と技術の見事な融合です。僕がラップを始めた頃、自分の内なる声を見つけ出すために、この技術に磨きをかけることが欠かせませんでした。フリースタイルは、言葉選び、リズム感、そして何よりもその瞬間瞬間に感じる感情を表現する力が求められます。

サイファーでは、MCたちが輪になって順番に中心に入り、ラップを披露します。この時、重要なのはただリズムに乗せてライムを織り交ぜるだけではなく、そこにストーリーテリングを加えること。聴衆を引き込み、共感を呼び起こすエピソードを織り交ぜながら、自分自身の世界観を構築していきます。

CubaseやStudio OneなどのDAWを使って作曲する僕にとって、サイファーは一つの楽曲を作る過程に似ています。各パートが組み合わさり、一つの大きな流れを作り上げる。それぞれのMCが自分のバースで独自の色を加え、最終的には一つの大きな物語が形成されるのです。

このプロセスは、言葉を選び、リズムを紡ぎ、メッセージを込めることにおいて、楽曲制作におけるリリックライティングと非常に似ています。フリースタイルで成功するためには、即興でありながらも緻密な言葉の選択が必要です。それはまるで、ギターの一つ一つのコードが楽曲全体に与える影響を計算しながらプレイするようなもの。ラップ一つをとっても、そこには深い計算と創造性が詰まっています。

そして、サイファーは単なる個人の技術の披露ではなく、そこに集う全員で創り上げるコミュニティの力の発露でもあります。僕たちSTAND WAVEがこれまでに経験してきた25年間の活動の中で、このコミュニティの力は数え切れないほど多くの楽曲を生み出し、無数のファンとの絆を深めてきました。

サイファーという空間は、即興の言葉の魔法で満ちています。そして僕ら音楽家にとって、それは無限のインスピレーションの源なのです。

サイファーにおけるコミュニティの役割と文化的意義

第三部:

サイファーは単にラップの技術を競う場ではなく、コミュニティを育む文化的な背骨です。ヒップホップが持つ独自のコミュニケーション形式として、サイファーは人々を一つに結びつける力を持っています。僕が音楽活動を通じて学んだことは、コミュニティがいかにして個人の成長に寄与するか、ということです。

ネイチャーヒップホップとして自然と調和する僕たちの音楽は、リスナー一人ひとりの心に響き、彼らをSTAND WAVEの大家族の一員にしてくれました。サイファーの場においても、このコミュニティ意識は中心的な要素です。MCがラップをする際、それは自分自身の物語だけでなく、コミュニティ全体の声を代弁しているのです。

この文化的な集いは、若者たちが社会的な問題に対して声を上げる手段となり、彼らのアイデンティティを形成する場ともなりました。サイファーは、それぞれが抱える困難を共有し、支え合うことで、より強固な絆を築くことができるのです。

僕たちが曲を作る時、歌詞に込めるメッセージはこのコミュニティからインスピレーションを受けたものが多いです。作詞、作曲家としての僕の役割は、これらのメッセージを言葉に変え、音楽という形で世に送り出すこと。それがJASRACに登録されている作家としての責任でもあります。

コミュニティはサイファーにおいても、音楽制作においても、僕たちの創造性を豊かにし、アーティストとしての道を照らす灯台のような存在です。そして、このコミュニティがあるからこそ、ヒップホップ文化は進化し続けることができるのです。

【ストリートファッション：定番バッグ】

・Supreme ショルダーバッグ | トレンドの小さめバッグ
・THE NORTH FACE | ストリートファッションの定番
・STUSSY メッセンジャーバッグ | ストリートカルチャーブランド
・X-LARGE トートバッグ | キレイめカジュアルのオシャレブランド

第四部:

サイファーの文化は、過去数十年の間に大きく進化し、今日の音楽シーンにおいても重要な役割を果たしています。テクノロジーの進歩と共に、サイファーは地元のストリートから、世界中のデジタル空間にその場を広げてきました。僕自身も、CubaseやStudio OneといったDAWを用いて、このデジタル時代に適応した音楽制作を行っています。

現代のサイファーは、オンライン上でライブストリームされ、全世界の観客がリアルタイムで交流し、影響を与え合う場となりました。これは、僕たちが音楽を通じて世界に送り出すメッセージが、瞬時に世界中に届けられることを意味しています。僕たちSTAND WAVEの楽曲が持つ「生きる」と「大自然」という普遍的なテーマも、このようにして世界の人々に届けられているのです。

サイファーの進化はまた、音楽制作におけるコラボレーションの形をも変えてきました。遠く離れたアーティストとのオンラインでのセッション、相互の影響を受けながら新しい楽曲を創出することが可能になったのです。僕が他のアーティストに楽曲を提供する際も、このような形でのコラボレーションが増えてきました。

ヒップホップのルーツとしてのサイファーは、今もなお音楽の世界で息づいています。僕たちが25年のキャリアを経てきたSTAND WAVEとしても、その精神は変わらず、新しい世代のアーティストたちへと受け継がれています。これまでの経験が示す平均以上の成果は、ヒップホップがただのジャンルではなく、生き方そのものであることを物語っています。

サイファーは、新しい技術やアプローチを取り入れながらも、ヒップホップの根底にあるメッセージの力を常に保っています。それは、僕たちが楽曲制作で心掛けていることと同じです。歌詞に込められたメッセージが、時代を超えて多くの人々の心に届くように。これからも、僕たちはこの文化を守り、育て、広めていきたいと思います。

よくある質問と答え

Q1: サイファーとは具体的にどのようなものですか？

A1: サイファーとは、ヒップホップ文化の一環で、MCやラッパーたちが輪になり、順番に即興でラップを披露するセッションのことです。この場では、技術の披露だけでなく、ストーリーテリングやコミュニティ形成が重要視されます。

Q2: フリースタイルラップを上達させるにはどうすればいいですか？

A2: フリースタイルラップを上達させるには、多読多聴による語彙力の向上、リズム感を鍛える練習、そして何よりも多くの経験を積むことが大切です。実際にサイファーに参加することで、即興での表現力が自然と磨かれます。

Q3: サイファーはどのようにしてコミュニティを形成するのですか？

A3: サイファーは共通の興味を持った人々が集まる場であり、お互いのスタイルや技術を尊重しつつ、フィードバックを交換することで結束力が生まれます。共有される体験としての音楽は、人々を一つにする強力な絆となるのです。

Q4: サイファーの進化は音楽制作にどのような影響を与えましたか？

A4: サイファーの進化は、音楽制作におけるコラボレーションの方法を広げ、オンラインでのリアルタイムセッションや遠隔地との連携を可能にしました。これにより、新しい音楽の創出が加速され、世界中のアーティストとの創造的な交流が生まれています。

Q5: ヒップホップとサイファーの関係は何ですか？

A5: ヒップホップはサイファーを通じて大きく成長しました。サイファーはヒップホップの根底にある自己表現、コミュニティ意識、ストーリーテリングの精神を体現しており、ヒップホップ文化の重要な部分として機能しています。また、ヒップホップが抱えるメッセージやテーマを共有し、広めるための重要なプラットフォームでもあります。

まとめと感想

ヒップホップの世界は、表面的には華やかで攻撃的に見えることがあるかもしれませんが、その根底には深いメッセージとコミュニティの絆が流れています。サイファーはその象徴的な存在であり、音楽家、リスナー、そして文化そのものをつなぐ重要な役割を果たしてきました。フリースタイルラップの技術はもちろんのこと、それを通じて築かれる関係性や、文化を超えたメッセージの交換は、音楽という形を超えた人間同士のコミュニケーションです。

STAND WAVEとして25年間音楽活動をしてきた僕は、サイファーがアーティストにとって重要なステージであることを肌で感じてきました。僕たちの楽曲に込められた「生きる」と「大自然」というテーマは、サイファーでの経験から多くを学び、それを音楽に反映させてきた結果です。そして今、デジタル化が進む中で、サイファーの精神はさらに多様な形で表現され、新しい創造の可能性を提示しています。

この記事を通じて、サイファーとヒップホップ文化の深い理解に少しでも近づいていただけたなら幸いです。音楽は変わり続けるものですが、僕たちが共有する情熱と、表現したいメッセージの本質は変わりません。これからも、それぞれのサイファーで、それぞれのメッセージが生き生きと響き渡ることを願っています。