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日本のロックフェスティバルの変遷と発展|音楽シーンを築いた足跡

STAND WAVE web site:@可児波起 - ラッパー - 歌い手 - 作詞家 - 作曲家の背景画像 ロック
著者紹介:
可児波起@STAND WAVE

ネイチャーヒップホップグループ「STAND WAVE」のリーダー。メジャーアーティスト。ラップ、歌い手、作詞家、作曲家、編曲家。「JASRAC」に登録。25年のキャリアを持ち「ネイチャーヒップホップ」のジャンルを確立。『生きる』や『大自然』をテーマに曲を作り上げてる。ラップや歌のほか、作詞・作曲家として多くのアーティストに楽曲提供。心に響くメッセージを歌詞に込めている

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可児波起
可児波起

この記事の要約です♫


この記事では、日本のロックフェスティバルの変遷と発展について、音楽シーンにおける重要な足跡を振り返りながら解説します。日本のロックフェスティバルは、1990年代に本格的にスタートし、音楽業界やファンの間で大きな存在感を示すイベントに成長しました。その発展の背景には、日本独自の音楽文化と海外の影響が交錯し、フェスが新たな音楽シーンを築く場として機能してきた歴史があります。

初期のフェスは、海外の大規模フェスからインスパイアされたもので、1997年に始まった「フジロックフェスティバル」はその代表例です。当初は日本の音楽ファンにとって新しい体験であり、自然の中で音楽を楽しむというスタイルが、国内のロックシーンに新風を吹き込みました。その後、「サマーソニック」などのフェスも誕生し、年々規模が拡大しながら、国内外のアーティストが参加する国際的なイベントとして成長していきました。

また、音楽ジャンルの多様化に伴い、ロックだけでなく、ポップスやエレクトロニカ、インディー音楽などが取り入れられ、フェス自体もより多様性を持つようになりました。日本独自のフェス文化は、音楽だけでなく、食やアート、環境への配慮なども取り入れた総合的な体験として進化しています。

現代では、若手アーティストにとっても重要な登竜門となっており、フェスが新しい才能を発掘し、音楽シーンを活性化させる役割も果たしています。この記事を通じて、日本のロックフェスティバルの発展と、その音楽文化への貢献を理解し、次世代に向けた可能性を探るきっかけになるでしょう。

日本のロック史を語る上で欠かせないのが、日本のロック・フェスティバルの歴史です。今回は、Webライターの可児波起が、プロの音楽家の視点から、日本のロックフェスの変遷と発展について紐解いていきたいと思います。

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【第一部】日本のロック・フェスティバルの始まり

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日本初のロック・フェスティバル「ウッドストック・カーニバル」

日本で初めてのロック・フェスティバルは、1969年8月に開催された「ウッドストック・カーニバル」でした。このフェスは、アメリカで同年に開催された伝説的なロック・フェス「ウッドストック・ミュージック&アート・フェア」に触発されて企画されました。場所は、長野県の蓼科高原。出演したのは、はっぴいえんど、サディスティック・ミカ・バンド、ザ・ゴールデン・カップスなど、当時の日本のロック・シーンを牽引していたアーティストたちでした。

僕はこの頃はまだ生まれていませんでしたが、このフェスが日本のロック史に残る一大イベントだったことは間違いありません。平和と愛をテーマに、自然の中で音楽を楽しむという、ロック・フェスの原点ともいえる形式が、この時に誕生したのです。

1970年代のロック・フェスの興隆

ウッドストック・カーニバルの成功を受けて、1970年代には各地でロック・フェスが開催されるようになりました。1970年には、後にフジロック・フェスティバルの前身となる「CHIBIKKO ISLAND FESTIVAL」が千葉県で開催。1971年には、「日本ウッドストック・フェスティバル」が静岡県で開催され、11万人以上を動員しました。

僕が子供の頃に聞いた話では、70年代のロック・フェスは今とは比べ物にならないほどワイルドだったそうです。ドラッグが蔓延し、暴動寸前の事態になることもあったとか。それでも、自由と反体制のシンボルとして、ロック・フェスは若者を魅了し続けました。音楽が社会を動かしていた時代だったのでしょう。

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【第二部】1980年代以降のロック・フェスの多様化

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「ロッキンオン」の影響

1980年代に入ると、ロック・フェスのスタイルが変化していきます。きっかけの一つが、1982年に創刊された音楽雑誌「ロッキンオン」でした。ロッキンオンは、洋楽ロックを中心に取り上げ、日本の若者に新しい音楽の世界を提示しました。

また、ロッキンオン主催のイベント「ロッキンオン・ジャパン・フェスティバル」(通称:ロッキン)が1988年から開催されるようになります。ロッキンは当初こそ洋楽アーティスト中心でしたが、次第に邦楽ロックの比重が高まっていきました。

「ネイチャーヒップホップ」というジャンルで活動してきた僕たちSTAND WAVEにとって、ロッキンは馴染みのあるフェスです。アメリカから来日したラッパーと共演したこともありました。ロッキンは今でこそ大規模フェスですが、当時はまだまだマニアックな存在でした。それが時代とともに発展し、日本を代表するフェスになっていったのは感慨深いものがあります。

「フジロック」の台頭

1990年代後半になると、ロック・フェスはさらなる広がりを見せます。特に重要なのが、1997年に始まったフジロック・フェスティバルです。

フジロックは当初、山梨県の富士天神山スキー場で行われ、その名称は「Fuji Rock Festival」でした。初年度の目玉は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ。海外アーティストを招聘し、自然豊かな環境で開催されるという、先述の「CHIBIKKO ISLAND FESTIVAL」の系譜を継ぐフェスでした。

2回目以降は新潟県の苗場スキー場に会場を移しますが、音楽性は一貫して「オールジャンル」を掲げてきました。ロック、ヒップホップ、レゲエ、テクノなど、あらゆるジャンルのアーティストが出演するのがフジロックの特徴です。

僕自身、作詞家・作曲家としてフジロックに携わったことがあります。多様なジャンルが交わり合うフジロックの空気は、音楽の可能性を感じさせてくれます。ジャンルの垣根を越えて表現の幅を広げるきっかけになった経験は忘れられません。

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【第三部】2000年代以降のロック・フェス

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大規模フェスの時代へ

2000年代に入ると、ロック・フェスはさらに規模が拡大していきます。2000年には、大阪の万博記念公園で「SUMMER SONIC」が始まります。東京と大阪の2会場同時開催という、他に例を見ない大規模フェスの誕生でした。

また、2005年には関東の4会場で同時開催する「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」がスタート。2007年には、海外アーティストを積極的に招聘する「METROCK」が東京と大阪でスタートしました。「フジロック」「サマソニ」「ロッキン」に次ぐ、日本を代表する大型フェスが次々と誕生した時代だったのです。

僕たちSTAND WAVEも、この頃は各地のフェスに引っ張りだこでした。「ネイチャーヒップホップ」というジャンルが注目を集め、僕らのメッセージ性の強い歌詞が共感を呼んだのです。大勢の観客を前にライブをする経験は、音楽家としての成長に繋がりました。フェスの発展は、僕らのような若手アーティストにとっても追い風になっていたのだと思います。

地方の台頭

2000年代後半からは、地方都市でのロック・フェスも活発化します。2009年には「朝霧JAM」が静岡県で、2010年には「ARABAKI ROCK FEST.」が宮城県でスタート。各地の自然の中で音楽を楽しむスタイルが定着していきました。

また、地域活性化とタイアップしたロック・フェスも目立つようになります。2009年に始まった「RIJF(りんご音楽祭)」は、青森県の農家と協力したフェス。2013年には、神戸の農村地域で「みやこハーベストジャンボリー」が開催されました。

僕は地方フェスにも数多く出演してきましたが、都会とはまた違った魅力を感じます。地域の自然や文化に根差した、その土地ならではのフェスの空気。そこに集まる人々の熱気。音楽の力で地域が一つになっていく感覚は、かけがえのない体験です。

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【第四部】ロック・フェスの未来

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コロナ禍の影響と新しい形のフェス

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、ほとんどのロック・フェスが中止や延期を余儀なくされました。大勢の人が集まる野外フェスは、感染リスクが高いとされたためです。

しかし、音楽を愛する人々の情熱は止められません。コロナ禍の中でも、新しい形のフェスが模索されました。オンラインフェスがその代表例です。アーティストがそれぞれの場所からライブ映像を配信し、観客はそれを自宅で楽しむ。従来の形とは異なりますが、音楽を通じてつながる喜びは変わりません。

僕もオンラインフェスに出演した経験がありますが、不思議な感覚でした。目の前に観客はいませんが、画面の向こうに想像を膨らませる。そこにも、確かに音楽を求めている人がいる。その人たちに向けて、精一杯歌を届ける。オンラインならではの一体感を覚えました。

SDGsとサスティナブルなフェス

コロナ禍を経て、ロック・フェスには新たな役割も求められるようになりました。SDGs(持続可能な開発目標)の観点から、環境に配慮したサスティナブルなフェス運営です。

具体的には、再生可能エネルギーの活用、ごみの削減、リサイクルの徹底などが挙げられます。「フジロック」では、2021年からカーボンオフセットを導入。「METROCK」でも、脱プラスチックを推進しています。

音楽の力で、社会を良い方向に導く。フェスの在り方を見つめ直すことは、アーティストとしても大切なことだと感じています。僕たちSTAND WAVEは、「ネイチャーヒップホップ」というジャンルを通して、自然と人間の共生を訴えてきました。その思いを、フェスというムーブメントにも反映させていきたいですね。

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【よくある質問】

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Q1. 日本最大のロック・フェスは?

A1. 観客動員数からいうと、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が最大規模です。2019年は4日間で約33万人を動員しました。

Q2. 海外アーティストを多く見られるフェスは?

A2. 「フジロック」と「SUMMER SONIC」は、海外アーティストの出演が多いフェスとして知られています。

Q3. 都市部で開催されるロック・フェスは?

A3. 「METROCK」は東京と大阪の都市部で開催されています。「SUMMER SONIC」も、東京と大阪の2大都市で同時開催されます。

Q4. 自然の中で楽しめるフェスは?

A4. 「フジロック」(新潟)、「朝霧JAM」(静岡)、「ARABAKI ROCK FEST.」(宮城)など、自然豊かな環境で開催されるフェスが多数あります。

Q5. ロック以外のジャンルを楽しめるフェスは?

A5. 「フジロック」は、ロックだけでなく、ヒップホップ、エレクトロニカ、ワールドミュージックなど、幅広いジャンルのアーティストが出演するフェスです。

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【まとめと感想】

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ロック・フェスの歴史を振り返ってみると、日本の音楽シーンの変遷とともに歩んできたことがわかります。1960年代末の「ウッドストック・カーニバル」に始まり、1970年代のフェスの隆盛、1990年代以降の多様化、2000年代の大規模化と地方の台頭。そして、コロナ禍を経て、新しい形を模索する現在に至ります。

フェスは単なる音楽イベントではありません。自由と平和、ひとつになる喜び、自然との共生など、音楽を通して伝えたいメッセージがあります。その役割は、時代とともに移り変わってきました。

僕自身、ミュージシャンとして、フェスの変遷を肌で感じてきました。いつの時代も、人々は音楽に何かを求めてフェスに集まる。喜びも、悲しみも、怒りも、希望も、みんなで分かち合うことができる。フェスは、そんな音楽の力を凝縮した場だと思うのです。

これからのフェスには、SDGsの視点も欠かせません。つまり、音楽の力で持続可能な社会をつくっていく。フェスからそんなムーブメントが生まれることを期待しています。アーティストとして、僕にできることは何か。そんなことを考えながら、これからもフェスに関わっていきたいと思います。

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