「この町 / STAND WAVE」
この町 / STAND WAVE
この町の この場所の においが好き
沢山の時や人が 築き上げた このにおい
あの日から この町が とても愛しい
大切な面影が においと共にそこにある
ひと夏が終わり 草も長く伸び 生々しい傷を覆い隠し
まるで何事もなかったかのように 新しい草原が続き
気持ちが薄れ 意識も薄れ 心が叫ぶ「元に戻れ」
ずっと守り続けていた物が 記憶の中でこぼれ
神社を曲がり 急坂を上り みんなのいる校庭に走り
遠くから友の名を呼び 騒がしい一日が始まり
この町で産声を上げ 成長を遂げ 愛が生まれ 家族が増え
この町で孫を見つめ 笑い声に包まれ 想いは受け継がれ
大きく大きく変わってく 思い出せないほど変わっていく
でも この町のにおいだけは変わらない この場所が持つにおい
この町の この場所の においが好き
沢山の時や人が 築き上げた このにおい
あの日から この町が とても愛しい
大切な面影が においと共にそこにある
誰かを愛する気持ちと同じように この町で生き続けたいと想うように
それはとてもシンプルで 純粋で 大きな理由など無くて
「この町が好き」 「この町のにおいが好き」 ただそれだけを胸の奥に
竹林やキンモクセイのにおい 柔らかい潮風のにおい
あの日からずいぶんと気持ちが変わった 知らない人と挨拶を交わした
一人一人の距離が近くなった 他人の事を真剣に考えられるようになった
大切なものがもっと大切になった 遠く離れていった人のことを想った
この町を想う気持ちが強くなった この町のにおいがとても好きになった