まるで親のような気持ちで
光二を、少し離れた所から見守っていました。
岩手県大槌町という
東日本大震災で、
町の生活圏の8割が津波で流され、
多くの人が町を離れ、
多くの人が仮設住宅でこれから
2度目の冬を迎える
まだまだ「復興」ということからは
程遠い町から、
15歳の青年が夢のスタートを切りました。
朝、渋谷の会場、
club Asiaに到着。
インターネットなどで見ていた
憧れの人たちがぞくぞくと集結。
不安や緊張で震えていた青年が
いつの間にか
輪の中にいました。
club Asiaは、東京でも
長い歴史を持つ大きなclub。
STAND WAVEとして、
昔一度、ステージに立ちました。
こわばっていた顔が
バトルに挑むアーティストの顔に変わっていきます。
腰より高いステージに立った光二は、
名前のごとく
光り輝きました。
今まで見たこともない
キラキラした表情で、
ステージで躍動しました。
本番では、
見た事もない
自信に溢れた表情でした。
結果は、70人中の
ベスト16に残る事は出来ませんでしたが、
その後の大会も最後まで見て、
多くの仲間、友人が出来、
朝から何も食べてないことを忘れるくらい
楽しんでいました。
「僕の人生で一番華やかな日でした」
と言われた時、
とても幸せな気持ちになりました。
光二も幸せ。
僕も幸せ。
幸せの交換。
帰りの車や、我が家に着いた後も、
興奮から、
ずっと、今日という日が
どれだけ素晴らしかったかを
話し続け、
急に疲れが溢れてきて
まだ寝ています。
もうしばらく我が家にいて、
ワークショップに参加したり
初東京を満喫します。
その想いを三陸に持って帰り
どんどん新しい事を生み出して欲しいと願っています。
光二が出来たから、
と、同年代の友人たちが
希望を持ってくれたらと思います。
最近は緊張であまり寝れなかったよう。
ゆっくり起きるまでそっとしておきます。
彼の夢は始まったばかり。
ここからスタートです。
光二。
会えて良かった。
ありがとう。