TRAP MUSICの特徴と歴史｜ヒップホップの新時代を築いたサウンドの秘密に迫る

こんにちは。STAND WAVEのボーカル・ラッパーの可児波起です。

僕たちSTAND WAVEは、1998年に結成されたヒップホップグループで、「ネイチャーヒップホップ」というジャンルを開拓してきました。自然との共生や生きることの素晴らしさを歌ってきた僕たちですが、今回は少し毛色の変わったジャンルについて紹介したいと思います。

それは、近年ヒップホップシーンで大きな注目を集めている「TRAP MUSIC」です。

TRAP MUSICは、2000年代後半にアメリカで誕生したヒップホップの一つのジャンルで、独特のサウンドやフロウが特徴的です。日本でもTRAPを取り入れたアーティストが増えてきており、音楽シーンに大きな影響を与えつつあります。

そこで今回は、TRAP MUSICの特徴や歴史、そして僕なりの解説をお届けしたいと思います。TRAP MUSICに興味がある方はもちろん、あまり詳しくない方にもわかりやすく説明できればと思います。

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第一部：TRAP MUSICの特徴

TRAP MUSICは、他のヒップホップとは一線を画す独特のサウンドが魅力です。ここでは、TRAP MUSICの主な特徴について解説していきます。

重厚なバスドラムとスネアドラム

TRAP MUSICを特徴づける要素の一つが、重厚なバスドラムとスネアドラムのサウンドです。通常のヒップホップよりもさらに低音が強調され、「ドンドン」という力強いキックが印象的です。また、スネアドラムは「バリバリ」という高域の音が強調され、バスドラムとの対比が鮮やかです。

僕もSTAND WAVEの楽曲制作にはCubaseやStudio Oneを使っていますが、TRAPのようなキックの作り方はまた違った難しさがあります。EQやコンプレッサーを駆使して、重厚な低音を作り込むのがポイントですね。

トリップ感のあるハイハットの使い方

TRAP MUSICのもう一つの特徴は、トリップ感のあるハイハットの使い方です。ハイハットを16分音符で刻むことで、まるで時計の秒針のようなリズムを作り出します。このハイハットのリズムが、TRAP MUSICに独特のグルーヴ感を生み出しているのです。

僕も最近はTRAPのリズムを取り入れた楽曲制作をするようになりましたが、ドラムだけでなくシンセサイザーやボーカルのリズムにもこだわるようになりました。TRAPから学ぶことは多いですね。

ダークでクールな空気感

TRAP MUSICは、ダークでクールな空気感も大きな特徴です。ホラー映画のようなサウンド・エフェクトを取り入れたり、ミステリアスなシンセサイザーを使ったりすることで、独特の世界観を作り出します。

歌詞の内容も、ドラッグや暴力、セックスなどを扱うことが多く、アンダーグラウンドな雰囲気が漂います。もちろん、僕たちSTAND WAVEとは歌詞のテーマは違いますが、サウンドのダークさや重厚さは参考にしたいですね。

以上がTRAP MUSICの主な特徴です。次の第二部では、TRAP MUSICの歴史について紐解いていきたいと思います。

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第二部：TRAP MUSICの誕生と発展

TRAP MUSICは一体どのように生まれ、発展していったのでしょうか。ここではTRAP MUSICの歴史を振り返ってみたいと思います。

TRAP MUSICの誕生

TRAP MUSICの誕生は、2000年代後半のアメリカ南部に遡ります。当時、アトランタを中心に「クランク」と呼ばれるダンス・ミュージックが流行していました。クランクはテンポが速く、シンプルなリズムが特徴的でした。

そのクランクから派生する形で、よりダークでスローなビートを取り入れたのがTRAP MUSICです。「TRAP」とは「DRUG DEAL（麻薬取引）」を行う場所を意味するスラングで、そのアンダーグラウンドな雰囲気がTRAP MUSICに反映されています。

初期の代表アーティスト

TRAP MUSICを確立したアーティストとして、T.I.やグッチ・メイン、ヤング・ジージーなどが挙げられます。彼らは2000年代後半から2010年代前半にかけて活躍し、TRAP MUSICを世に広めました。

特にT.I.の2003年のアルバム「Trap Muzik」は、TRAP MUSICというジャンルを決定づけた記念碑的な作品と言えます。ダークでクールなサウンドに、ギャングスタ・ラップを乗せた斬新なスタイルは、多くのラッパーに影響を与えました。

サウンドの進化

初期のTRAP MUSICはまだオールドスクールなヒップホップの影響が色濃く残っていました。しかし、2010年代に入るとサウンドは大きく変化します。

808のバスドラムを全面に押し出したリズムや、より電子的なシンセサイザーを取り入れることで、TRAP MUSICは一気にモダンで実験的なサウンドへと進化しました。

僕も音楽プロデューサーとして、そうしたサウンドの変遷には常に注目しています。移り変わりの早い音楽シーンにおいて、トレンドを押さえておくことは非常に重要だと感じています。

本場アメリカから世界へ

こうしてTRAP MUSICは、2010年代にアメリカで大きなムーブメントとなりました。その人気は瞬く間に本場アメリカから世界中に広がっていきます。

ヨーロッパやアジアなど、様々な国のアーティストがTRAP MUSICに影響を受け、自国の音楽と融合させるようになりました。日本でもTRAPブームが起こり、多くの若手アーティストがTRAP MUSICを取り入れています。

次の第三部では、日本でのTRAP MUSICについて、僕なりの視点でお話ししたいと思います。

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第三部：日本におけるTRAP MUSIC

前回お話ししたように、TRAP MUSICは本場アメリカから世界中に広がりました。日本でもここ数年、TRAP MUSICが大きな注目を集めています。ここでは、日本におけるTRAP MUSICの広がりと、それに伴う変化について見ていきたいと思います。

日本語ラップとTRAP MUSIC

日本でTRAP MUSICが広まったのは、2010年代半ば頃だと言われています。当時、日本語ラップがインターネットを中心に人気を集めつつありました。そうした中で、KOHH、BAD HOP、YZERR、Awichなどの若手ラッパーがTRAP MUSICのスタイルを取り入れ始めたのです。

彼らは日本語の言葉のリズムをTRAPのビートに乗せ、独自の世界観を作り上げました。日本語の音韻とTRAPが絶妙にマッチし、新しいサウンドが生まれました。

僕自身、彼らの音楽には刺激を受けましたね。mother2やNF、鎮座DOPENESSなど、先駆者たちの姿勢を受け継ぎつつ、新しいアプローチで挑戦する姿勢に共感しました。

TRAPブームの到来

こうした動きを受けて、日本の音楽シーンではTRAPブームが到来します。2017年頃からは、多くのアーティストがTRAP MUSICを取り入れた楽曲をリリースするようになりました。

メジャーシーンでも、三代目 J SOUL BROTHERSやGENERATIONSといった人気グループがTRAPサウンドを積極的に取り入れ、ヒット曲を連発しました。

同時に、WANIMA、キタニタツヤ、ちゃんみな、さなりなど、他ジャンルのアーティストもTRAP MUSICにインスパイアされた楽曲を発表し、ジャンルの垣根を越えた広がりを見せました。

音楽フェスでのTRAP MUSICの躍進

近年は音楽フェスでもTRAP MUSICが大きな存在感を示しています。例えば、「ULTRA JAPAN」や「SUMMER SONIC」といった大型フェスでは、多くのTRAPアーティストがラインナップに名を連ねるようになりました。

ライブでのTRAP MUSICは、DJとラッパーが一体となってフロアを盛り上げます。重低音が体に響き渡る中で、ラッパーのフロウが会場を熱狂の渦に巻き込んでいく。そのエネルギッシュなパフォーマンスは、フェスの大きな魅力となっています。

僕もそうしたフェスの熱気を肌で感じていますが、TRAP MUSICの持つパワーには驚かされます。音楽の形態が変わりつつある中で、ライブの在り方も大きく変化しているのだと実感しています。

次の第四部では、TRAP MUSICが音楽シーンにもたらした影響について、僕なりの考察をお話しできればと思います。

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第四部：TRAP MUSICが音楽シーンに与えた影響

ここまでTRAP MUSICの特徴や歴史、日本での広がりについてお話ししてきました。それを踏まえた上で、TRAP MUSICが音楽シーンに与えた影響について、僕なりの見解を述べたいと思います。

ジャンルの垣根を越えた影響力

TRAP MUSICは、ヒップホップの枠に留まらず、様々なジャンルに影響を与えました。EDMやポップス、ロックなど、幅広いジャンルのアーティストがTRAPのエッセンスを取り入れるようになったのです。

その背景には、TRAPの持つ独特のグルーヴ感や重厚なサウンドが、他ジャンルの音楽とも親和性が高かったことがあるでしょう。TRAPは様々なジャンルとの融合を果たし、新しい音楽の可能性を切り開いたと言えます。

僕自身、STAND WAVEではオルタナティブ・ロックの要素を取り入れていますが、TRAPの影響も受けています。ジャンルの垣根を越えて、自由に音楽を作るというTRAPの精神は、多くのアーティストに影響を与えたのだと思います。

サウンドメイキングの変化

TRAP MUSICは、音楽制作の現場にも大きな変化をもたらしました。特に、ドラムのサウンドメイキングは大きく変わりましたね。

808をはじめとする強力なバスドラムは、TRAPを象徴する存在です。それまでのヒップホップとは一線を画す、重厚な低音が求められるようになりました。また、ハイハットやスネアの使い方も、TRAPならではのプログラミングが主流になっています。

僕もプロデューサーとして、TRAPのサウンドメイクには学ぶことが多いです。Cubaseのプラグインを駆使して、キックの音作りにはかなり時間をかけるようになりました。TRAPに触発されて、ドラムへのこだわりが深まった部分はありますね。

ラップにおける影響

TRAP MUSICは、ラップのスタイルにも変化を与えました。トリッピーでダークなビートに合わせて、ラッパーのフロウもよりスローでドープなものへと変わっていったのです。

シンプルでキャッチーなフレーズを刻むスタイルや、ドラッグ、セックス、暴力といったクールでアンダーグラウンドなテーマを語るリリックは、TRAP MUSICならではの特徴だと言えるでしょう。

日本のシーンでも、KOHH、BAD HOP、YZERR、Awichといったラッパーが、TRAPスタイルを確立しました。母国語のリズムをTRAPのフロウに乗せる彼らのラップは、日本語ラップの新しい地平を切り開いたと言えます。

このように、TRAP MUSICは音楽シーンに大きな影響を与え、新しい表現の可能性を示してくれました。古いスタイルに固執するのではなく、時代の流れと共に変化していく。そうした姿勢は、僕たち音楽家にとって大切なことだと、TRAPから学びました。

次は、皆さんから頂いた質問にお答えしていきたいと思います。

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よくある質問

Q1. TRAP MUSICってどんな音楽なの？

A1. TRAP MUSICは、アメリカ南部で生まれたヒップホップの一ジャンルです。重厚なバスドラムとスネアドラム、トリッピーなハイハット、ダークでクールな空気感が特徴的ですね。ラップは少しスローでドープなフロウが主流です。日本語ラップにも大きな影響を与えています。

Q2. おすすめのTRAPアーティストを教えてください！

A2. 海外アーティストだと、T.I.、グッチ・メイン、ヤング・ジージー、ミーゴス、カーディ・Bなどが有名ですね。日本だとKOHH、BAD HOP、YZERR、Awichがトップを走っています。最近だと、Vaundy、ちゃんみな、さなりといった他ジャンルのアーティストもTRAPの要素を取り入れていますよ。

Q3. TRAPっぽいビートを作るコツはありますか？

A3. 808系のキックを全面に押し出すことが大切ですね。EQやコンプで低音をしっかり強調しましょう。ハイハットは16分刻みでトリップ感を出すのがポイントです。シンセは暗めでホラーチックなものを入れると、TRAPらしい空気感が出ますよ。あとはラップのネタ作りも大事。ギャングスタな世界観を意識してみてください。

Q4. TRAPを取り入れたJ-POPを作りたいのですが、アドバイスはありますか？

A4. J-POPにTRAPを取り入れるのは面白い試みだと思います。メロディは王道の日本的なメロディを大切にしつつ、ビートやシンセにTRAP要素を取り入れるのが良いでしょう。例えば、サビはキャッチーなメロディで、Aメロ・Bメロはちょっとダークでトリッピーな感じにするとか。歌詞も、TRAPのクールな世界観を意識しつつ、日本の情緒も大切にするといいですよ。

Q5. TRAPが音楽シーンに与えた影響って、具体的にはどんなことでしょうか？

A5. TRAPは、ヒップホップに留まらず、様々なジャンルに影響を与えました。ポップスやロック、EDMなど、幅広いジャンルでTRAP的な要素が取り入れられるようになったんです。サウンドメイクの面でも、ドラムの音作りが大きく変わりましたね。ラップにおいても、新しいフロウやリリックのスタイルが生まれました。音楽シーンに新しい表現の可能性をもたらしたのが、TRAPの大きな影響だと思います。

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まとめと感想

今回は、TRAP MUSICについて様々な角度から探求してきました。TRAPの特徴や歴史、日本での広がり、そして音楽シーンへの影響など、できる限り多面的に解説させていただきました。

改めて振り返ってみると、TRAPは単なる一時的なブームではなく、音楽の歴史に大きな足跡を残したジャンルだと言えるでしょう。重厚なビートに乗せた革新的なサウンドは、多くのアーティストにインスピレーションを与え、新しい表現の扉を開きました。

同時に、TRAPが内包する文化的な背景や社会的なメッセージにも注目したいと思います。TRAPの歌詞には、しばしば過酷な現実や社会の闇が赤裸々に綴られます。それは決して肯定されるべきものではありませんが、アーティストたちがリアルを凝視し、音楽に昇華させる姿勢は尊敬に値すると思うのです。

僕自身、TRAPには多くの刺激を受けてきました。ただ、STAND WAVEはあくまでもポジティブなメッセージを大切にするグループです。TRAPのかっこよさは取り入れつつ、僕たちなりの音楽の在り方を模索していきたいと思っています。

これからも、TRAPは音楽シーンに様々な影響を与え続けるでしょう。新しいアーティストが現れ、また新しいサウンドが生まれる。そうした変化を柔軟に受け止めながら、自分の音楽に活かしていく。そんな姿勢を大切にしたいと、TRAPから学びました。

最後になりましたが、TRAPについて理解を深めるためにこの記事を読んでくださった皆さんに感謝します。もしTRAPにご興味を持たれたなら、ぜひ実際に音源を聴いてみてください。きっと、新しい音楽の世界が広がるはずです。