岩手県大槌町赤浜の漁師「阿部 力(あべ つとむ)」さん
大槌町にある「おらが大槌復興食堂」で出会い、
熱く熱く語り合い、
今は「きょうだい」と呼んでくれる、大槌の兄。
力さんの言葉が止まりました。
力さんが歯をくいしばってるように見えました。
力さんがもしかしたら、涙すらこらえているように見えました。
沈黙の後出てきた言葉は、
「そうであったらいいですね」
でした。
昨晩、NHK BS1の番組に、
大槌町を代表して、力さんが出演しました。
ドキドキしながら見ていました。
普段会う力さんとは違う、
苦悩の表情。
これは、テレビに出ている緊張とは違う、
どんな言葉を発していいのか、
必死に迷っているような顔に見えました。
モニターには、大槌町長が映し出され、
大槌町の復興計画の話を一生懸命しています。
その後、スタジオに戻って、力さんに話がふられました。
しばらくの沈黙。
うつむいて、言葉を探す力さん。
力さんは、
最初に会った時から、とても熱く「大槌」の事を話してくれました。
とても、優しく、強く、本当の事を話してくれます。
とても話が上手なので、聞いていてこちらも熱くなります。
その力さんの口から、言葉が出てこないんです。
番組の最後、
スタジオが上から撮られるシーンになって、
力さんは、苦悩の表情のまま、上の方を向いていました。
「力さん、ありがとうございます」
あなたの、その表情で、
僕らには充分伝わりました。
大槌町が抱える、あまりにも大きく険しすぎる復興への道筋。
それを饒舌に語るのではなく、
表情で教えてくれました。
皆さん、様々な想いで、それぞれの形で、
もしかしたら、
一人歩きを始めた「復興」という言葉に向き合っています。
だから、
誰かを否定したり、非難したりせず、
それぞれが、別の考えを持ちながらも、
自分の愛する町の事を共に考える。
あの日から1年。
愛する町と共に生きる覚悟を
その全てで教えてくれた
力さんに、
心から敬意を。
力さん。
また、会いに行きます。